【第六位】村下孝蔵さんと「夢のつづき」を歩く。歌詞の意味や世界観を解説・鑑賞!
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以前から村下孝蔵さんの楽曲解説をお楽しみいただいている方にはおなじみの楽曲かもしれませんが、今回はハイテンポで悲しい「夢のつづき」を取り上げます。
帰り道を確かめつつ愛をはぐくむ思いとはどのようなものなのでしょうね……。
- 参考:村下孝蔵さん楽曲解説特集🎸
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(⇒村下孝蔵さん楽曲解説・歌詞解題についての詳しい「考え方」はこちら)
ご興味のある方は、以下の記事もお楽しみいただけるはずと自負しておりますので、お時間のあるときにどうぞ遊びにいらしてくださいませ。
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【第六位】村下孝蔵さんと「夢のつづき」を歩く。歌詞の意味や世界観を解説・鑑賞!(解説楽曲例:ロマンスカー、だめですか、いいなずけ、北斗七星、夢からさめたらなど)
もちろん管理人なりに全力で取り組みましたので、皆様が村下さんの楽曲を別な視点から楽しむ参考になることだけは請け合いです☆
下部に歌詞全文を用意しました。適宜ご利用くださいね。
- 🎵 当記事の著者について
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第六位 “夢のつづき”
(プロモーションビデオ!遷移せずこの場で再生できます▶)
あなたの夢を聞かせて そうしていると
幸せな気分になると 君は笑った
解題
強めのエフェクトのかかった、おそらく電子ドラムなのでしょうか。
これからとある男性と女性のとある時間を切り取ってみせるぞ、というような明確な主題の打ち出しです。
そこへキーボードのやや時代がかった帯のようなメロディが現れ、一気に男性と女性がともに過ごす一室へと場面が迫っていきます。
女性が男性の顔を見つめています。
愛しているがゆえに、これからも一緒に過ごしていくことを当然と思っているがゆえに、男性がどんな夢を持っているのか尋ねたのです。
しかし、
ワイングラスをあふれた 僕達の時間
こぼれてしまった後で ふと気づく
二人は多くの時間を分かち合ったのでしょう。
その分かち合った時間はもはや過ぎ去り、夢のようでもあり、しかし目の前には確かにお互いの姿がある。
どこか関係が変化してしまったことに、二人はふと気づくのです。
もちろん、どちらかに責任があるとか、どちらがいけないとか、その程度の話ではありません。
二人は「雪の中をかける子犬のように」、互いの気持ちを思いやり、互いにたくさんの話をして、愛し合いながら歩きました。
「帰り道たしかめながら遠く」へ進むように、二人の関わりを大切に慎重に深めようとしていたのです。
したがって、
ひとつ上の愛を 求めたわけじゃない
ひとつ上の恋を 探したわけじゃない
のは二人にとっては当たり前のことで、この関係をずっと大事にして育てていこうとしていたのでした。
貯金箱につめこんだ 小さな硬貨
取り出そうと こわしたよ まるで子供さ
ここは比喩的な表現だとみるのがよいと思います。
「ロマンスカー」でもありましたが、ここで詰め込んでいる「硬貨」は男性と女性のお互いの愛なのではないでしょうか。
二人は十分に愛を貯めたのです。
しかし、その貯めた愛が、どういうわけかどこへも連れて行ってくれない。
ほしいもの手に入れても 満たされぬ心
たった一人の自分を かばってる
お互いに、一番大事な相手が目の前にいるというのに、どこか満たされない気持ちがぬぐえません。
自分ではできうる限りの愛を相手に向けましたし、相手も同じように慮って一緒の時間を過ごしてくれます。
ですが、その「愛」の出どころが、お互いに「自分自身のため」なのではないかということに気づいたとき、二人の心は走るのを止め、二人の関係は夕暮れを迎えるのです。
僕にもたれかかり 海を見ていた
牡丹色の夏の日が 暮れてく
もはやこれまでの関係が維持できないと悟った女性は、男性にもたれかかり、遠く鳴る海を眺めます。
男性も、二度とは来ない目の前の情景を見つめたまま、女性の身体の重みや感触を受け止めています。
牡丹色とは、やわらかい赤紫のような色とされています。
この場面は波止場なのか海辺の部屋の一室なのかは分かりませんが、一面の牡丹色の景色の中で二人が寄り添い合う光景が見に浮かびます。
二人はどちらもこう思っているのです。
ふたり夢のつづき 歩いていたかった
ふたりこれから先 このままと信じてた
互いに同じことを思い、同じ幸せを願い、同じ道を歩もうとしていた。
思いやりが欠けていたわけでも、やさしさが足りなかったわけでもありません。
ただ、たったひとつの気づきによって、二人の関係がそのように変化したのです。
その気づきは、人間が「愛する」ということの意味を根本から問い直すものでした。
ここからは本当に聴き手それぞれの解釈になると思いますが、二人が愛し合っていたようにみえたのは、お互いに「自分の投影」を愛していたからなのでしょうか……?
それでは、二人の人間がいて「愛し合う」とはどういうものを指すのでしょうか……。
奇しくも村下兄貴はこの二人の関係を「夢」と呼んでいます。
聴きどころ
ドラムの音がはっきりとしていて、曲の速さ以上にポップにも聞こえる本楽曲。
しかし、悲しく奥深いテーマを扱っていることが全編にわたって明らかな曲調です。
コーラスの「うぉううぉう!」という部分は、上で見てきたような内容とは似ても似つかないほどに力強さを持っています。
村下さんの歌唱にも多少エフェクトがかかっているでしょうか。
もしかしたら、人によっては古めかしい感じにも聞こえるかもしれませんね。
でもそこがよいのです笑
管理人の感想
本楽曲についての私的なエピソードといえば、YouTubeのコメント欄でお話しさせていただいた外国の方のために、歌詞を英訳してあげたことです。
その方はこの「夢のつづき」が大好きだということで、管理人も気合いが入って英語で歌えるように訳すのをすごく頑張った覚えがあります(笑)
サビの部分などどんな単語にしようか悩みましたね~。
村下さんの語感をくずしてはいけませんし、英語と日本語のリズムの違いもありますし。
やや記憶が薄いですが、その方のメールアドレスを教えてもらって、完成した英訳歌詞を送って任務完了でした☆
原稿が残っていればこの場でもお披露目できたのですが……
またやってみても面白いかもね??
(付記)隠れた曲ランク
村上保さんの美しい切り絵のPVもあり、シングルにもなっている本楽曲ですが、巷で広く認知されてはいないようです。
(途中で病気をされたり、村下さんの音楽活動の展開として致し方ない部分もあるのだと思います。)
ベスト盤への収録率(?)もまずまず高いので、村下さんと出会えば早い段階で触れる楽曲でしょうか。
隠れた曲ランク=3
まとめ
今回は村下孝蔵さんのハイテンポ曲「夢のつづき」を解説してまいりました。
ぜひ皆様もご自分なりの解釈で楽しんでみてくださいね☆
他の楽曲解説もご覧になりたい方は、歌詞全文下部↓のリンクへどうぞ。(直近の隠れた名曲ランキング解説楽曲は「稚内から」でした)
夢のつづき【歌詞全文】
あなたの夢を聞かせて そうしていると 幸せな気分になると 君は笑った ワイングラスをあふれた 僕達の時間 こぼれてしまった後で ふと気づく 雪の中をかける 子犬のように 帰り道たしかめながら とおくへ ひとつ上の愛を 求めたわけじゃない ひとつ上の恋を 探したわけじゃない 貯金箱につめこんだ 小さな硬貨 取り出そうとこわしたよ まるで子供さ ほしいもの手に入れても 満たされぬ心 たった一人の自分を かばってる 僕にもたれかかり 海を見ていた 牡丹色の夏の日が 暮れてく ふたり夢のつづき 歩いていたかった ふたりこれから先 このままと信じてた 雪の中をかける 子犬のように 帰り道たしかめながら とおくへ ひとつ上の愛を 求めたわけじゃない ひとつ上の恋を 探したわけじゃない ふたり夢のつづき 歩いていたかった ふたりこれから先 このままと信じてた
(作詞・作曲:村下孝蔵 編曲:水谷公生ー1984年9月21日)
関連記事ーその他楽曲解説など
ここまでお読みくださってありがとうございました!
村下孝蔵さんには他にも素敵な楽曲がたくさんあります。
当サイトでこれまで取り上げた楽曲を改めて掲げておきますので、お時間のあるときにぜひ遊びにいらしてくださいね
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