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村下孝蔵さん【踊り子】の美しく難解で純粋な心にふれる。歌詞の意味を解説&鑑賞!

踊り子アイキャッチ
おうじゃ(管理人)
(記事内にプロモーションを含む場合があります)

  • 村下孝蔵「踊り子」を自分なりに解釈して味わいたい
  • 「つま先で立ったまま」の意味がよくつかめない

村下孝蔵さんの楽曲の中でも有名な一曲なので、耳にしたことのある方は多いでしょう。しかし、その意味合いを深く見つめてみると、さらに奥行きがあることが分かってきます。

管理人は村下さんの全楽曲を解説・鑑賞することを目標に掲げ、当サイトで公開を進めています。(2023年4月14日現在:140曲中50曲を突破)

当記事では、難解と評されがちな「踊り子」について、管理人なりに歌詞や音楽を読み解いた内容を記述しました。

もちろん個人的な理解にならざるを得ませんが、詩作もおこなう身として、皆様がさらに村下孝蔵さんの魅力を感じるお手伝いができれば幸いです。

Q
参考:当サイトの村下孝蔵さん特集🎸

当サイトでは村下孝蔵さんの全楽曲、とりわけその歌詞の意味や世界観を解説することを目標に掲げています。

⇒村下孝蔵さん楽曲解説・歌詞解題についての詳しい「考え方」はこちら

ご興味のある方は、以下の記事もお楽しみいただけるはずと自負しておりますので、お時間のあるときにどうぞ遊びにいらしてくださいませ。

↓↓↓

\ 計13曲!隠れた名曲をランキング!/

村下孝蔵さん【踊り子】の美しく難解で純粋な心にふれる。歌詞の意味を解説&鑑賞!
村下孝蔵さん【踊り子】の美しく難解で純粋な心にふれる。歌詞の意味を解説&鑑賞!

(解説楽曲例:ロマンスカー、だめですか、いいなずけ、北斗七星、夢からさめたらなど)

⇒「踊り子」など代表曲はこちら

最下部に歌詞全文を付しましたので、全体を参照したい方は適宜ご利用くださいね☆

Q
🎵 当記事の著者について

当サイト管理人

新おうじゃ

名前 / Name  
おうじゃ 

職業 / Occupation
生来詩人、お米賞味マイスター、歌詞解説・鑑賞家、福話術者(家庭教師も兼業)

実績 / Achievements
生まれたときから詩的な人生を送っています。村下孝蔵さんに出逢ってから、その楽曲を肌身離さず心に持ち歩いては味わってきました。
姉妹サイトではシティポップの楽曲解説や、自身の生活の中で頂いたお米の銘柄の特徴をレビューしつつ【福話術】と題したあらゆる人の心に寄り添う記事を執筆、分野を開拓しています。

(姉妹サイト「おうじゃの福眼」プロフィールページへ遷移します)

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楽天ミュージック
『初恋~浅き夢みし~』所収

“踊り子”

「踊り子」は1983年8月25日に、大ヒット曲「初恋」に続くシングルとして発売されたのと同時に、アルバム『初恋~浅き夢みし~』に収録されました。

初恋に比べてかなり大人のテイストを盛り込んだ歌詞と音楽が特徴です。

答えを出さずに
いつまでも暮らせない
バス通り裏の路地
行き止まりの恋だから

解題

題名を意識しているのか、安定したリズム感と、めくるめくようなキーボードのメロディが印象的な本楽曲。

基本的な情景としては、男性と女性がお付き合いをしているその経過を歌っているとみることができるでしょうか。

男女二人が恋愛のダンスを踊っている様子を外側から見守る視点ととらえてもよいでしょうし、男性がメインで思いの丈を語っていると聴いてもよいでしょう。

二人は「行きどまりの恋」へ

男性と女性はお付き合いを始めてから時間が経ち、最初の熱い気持ちが落ち着いてきました。

もちろんお互いを大切に思っているし、この関係を続けることが嫌なわけでもないけれど「答えを出さずにいつまでも暮らせない」という気持ちが二人に芽生えています。

いかんともしがたいこの状況は、二人にとって「バス通り」のように大きな道路を行くのではなく「裏の路地」で未来のない「行きどまりの恋」と感じられました。

あるいは、二人は許されない関係にある恋人同士なのかもしれません。

隠れて恋をするしかない者同士が「裏の路地」でひっそりと愛し合ってきたけれど、それが立ち行かなくなっている。

何処かに行きたい
林檎の花が咲いている
暖かい所なら
何処へでも行く

当然、先の見えない袋小路にいるよりも「何処かに行きたい」と二人は願います。

裏路地の陽が注がない場所で過ごすより「林檎の花が咲いている暖かい所」を訪れることを求めるのですが「何処へでも行く」との表現から、やや助けを求めているようにも受け取れますね。

閉塞的になってきた二人の関係に新しい空気を取り入れようとしたのか、または、ともにその状況に堪えられなくなってきたのでしょうか……。

林檎の花
(林檎の花)

林檎の花は4~5月に中心花と側花を持って開花します。

深読みをすると、このように二人が寄り添って生きていける道があるのか、探し求めに出かけたいという心の表れでしょうか。

離れるに離れられない二人

つまさきで立ったまま
君を愛してきた

有名なフレーズです。

離れるに離れられず、関係を再びよい方向へ導こうとも願う男性は「つまさきで立ったまま」不安定に、自分の気持ちのせめぎ合いに引かれて踊るように、女性を「愛して」きました。

つま先立ちは背伸びにも通じるところがあり、互いに相手に合わせようと頑張ったり苦しんだりという含意もあり、実に趣深い表現です。

南向きの窓から
見ていた空が
踊り出すくるくると
軽いめまいの後

順風満帆の恋愛をスタートさせた二人は「南向きの窓」のある部屋を借りて暮らしていました。

その「窓から見ていた」この上なく青く澄んだ「空が」、ここに至って「くるくると」踊り出します。

あのときの素晴らしい二人の様子は何だったのか? 記憶も混ざり合いながら「軽いめまい」を引き起こします。

写真をばらまいたように
心が乱れる

美しかった空も自分の気持ちも、自分自身さえも踊っているかのような関係の中で、多くの思い出が刻まれた「写真をばらまいたように」二人の(あるいは男性の)「心」は乱れます。

もちろん身体は動くし、話もできるし、日常の生活も送れているのでしょう。

しかし、どういうわけか自分たちのあずかり知らないところで二人の関係は混迷していき、そのどうしようもなさに苦悶しているのです。

真実の愛を交わす夢を見る

表紙のとれてる
愛だからかくしあい
ボロボロの台詞だけ
語り合う日々が続き

そうした在り方で男性と女性がともに過ごすことは、まるで使い古され時間が経って「表紙のとれてる」うわべだけの「愛だから」、二人は「かくしあい」ます。

ここは、本当の気持ち(もうお付き合いは終わりだろうか、など。)を隠しながら関わっていると読むこともできます。

しかし、むしろ二人はお互いに真実の愛を交わすことができると思い続けたいがために「表紙のとれてる愛」(二人の現在の関係性)を隠し合っているととらえたほうが味わい深いでしょう。

だから、もう古くなってどうにもならない関係かもしれないけれど「ボロボロの台詞だけ」でも「語り合う日々」を続けているのだと思います。

そんな二人の姿は、

坂道を駆ける
子供達のようだった
倒れそうなまま二人
走っていたね

一緒に必死で愛を向け合い「坂道を駆ける子供達のようだった」。

この「坂道」は上り坂でなく下り坂と考えざるを得ないでしょう。下り坂で走るとさらに勢いが付き、倒れないためには次の足を継がねばならないのです。

二人はそれでも「倒れそうなまま」走り続けます。すなわち、

つまさきで立ったまま
僕を愛してきた
狭い舞台の上で
ふらつく踊り子

女性も「つまさきで立ったまま」、いわば無理をして男性を愛していた、いえ、愛そうと試みていたというべきでしょうか。

もはや二人の関係は広い場所でのびのびと互いの気持ちを表して展開するものではなく「狭い舞台の上」でのみ表現されるものになってしまいました。

素直に愛し合うのではなく、お互いに舞台に上って踊るかのような、強いられるような、でも自分がそれを望んでいるような、身も心も「ふらつく」ような恋。

手垢のついた「愛してる」という言葉

愛してる愛せない
言葉をかえながら
かけひきだけの愛は
見えなくなってゆく

数多くのボロボロの台詞集の中から、最終的には「愛してる」や「愛せない」といった手垢のついた台詞に二人の言葉は収れんしていきます。

この二つの言葉を中心に、あるいは交互に使うように「言葉をかえながら」二人はお互いを求めますが、そのような「かけひきだけ」になってしまった「愛は見えなくなって」いきました。

二人のどちらもこうした成り行きは望んでいないはずだということに注意が必要でしょう。

つまさきでたったまま
二人愛してきた
狭い舞台の上で
ふらつく踊り子

二人はここまできても、互いを愛しているのです。

「二人愛してきた」と第三者的に俯瞰する表現が入ってきているのは、この恋愛で二人が何らかの成長をした証なのでしょうか。

多少の諦めの気持ちが流れ込んできているのでしょうか。

若すぎたそれだけが
すべての答えだと
涙をこらえたまま
つまさき立ちの恋

二人は自分たちの恋がどれほど求めても成就しないことや、なぜか無理をしてこの関係を続けざるを得なかったことなどの「すべての答え」が「若すぎた」ことだと思い知ります。

若すぎるゆえに互いの姿しか見えず、そこに投影する自分の想い、そこから引き出したいと願う結果にばかり目が行ってしまったということでしょうか。

または、純粋に二人の愛が育っていくことだけを求めていたのに、若さゆえに自由が利かず、自分や周囲のもろもろの事情から不可能だったということでしょうか。

この関係に先はない、そのこともよくわかっているけれど、二人は「涙をこらえたままつまさき立ちの恋」を続けています。

成就し得ない純愛

本楽曲全体として、すでに終わった恋を振り返っていると考えてもよいのですが、渦中にある男性と女性自身が、以上のようなことに気付いてしまった情景だとみる方がより味わい深い気がしませんか。

エンディングで「ららら……」が長く続いていることも、ここまで見てきたような二人の関係が、二人によって自覚されながら継続されていく様子を表しているのでしょう。

うまくいくことのない純粋な愛を歌っている、いかにも村下さんらしい曲だと思います。

聴きどころ

聞こえ方によってはポップな曲とも思えるリズムある楽曲ですね。

ライブではギターを中心にした演奏がなされていて、そちらも、なんというのでしょうか、男性と女性の関係の虚ろさ(?)のようなものが浮き立つものになっています。

サビの部分やエンディングの「ららら……」のメロディは、一度聞くと口ずさんでしまえるほどに耳馴染みがよいです。

このメロディラインについては盗作されたなどのお話もあるようですが、そこは今回は置いておきましょう。

管理人の感想

上でも書きましたように、メロディが実に耳と心に入ってきやすいので、さほど聴きこまなくても聴いたような気になっていたかもしれません。

今回こうしてじっくりと歌詞の意味合いを解説する機会を持ってみて、予期していた以上の深みに驚いています。

隠れた名曲を解説した記事ではこの「深み」を裏のメインテーマにしているようなところもありましたから、その深い味わいの芽がこの「踊り子」段階でとっくに生まれていたこともうれしくなりました。

ぜひ、皆様も自分なりの「踊り子」を楽しんでくださいね。

……いえ、間違えました。これだと「切ない恋愛をしてくださいね」という意味になりかねませんね(笑)

村下孝蔵さんの「踊り子」、ぜひぜひ皆様の感じるままに味わってくださいね☆

踊り子【歌詞全文】

答えを出さずに
いつまでも暮らせない
バス通り裏の路地
行き止まりの恋だから

何処かに行きたい
林檎の花が咲いている
暖かい所なら
何処へでも行く

つまさきで立ったまま
君を愛してきた
南向きの窓から
見ていた空が
踊り出すくるくると
軽いめまいの後
写真をばらまいたように
心が乱れる


表紙のとれてる
愛だからかくしあい
ボロボロの台詞だけ
語り合う日々が続き
坂道を駆ける
子供達のようだった
倒れそうなまま二人
走っていたね

つまさきで立ったまま
僕を愛してきた
狭い舞台の上で
ふらつく踊り子
愛してる愛せない
言葉をかえながら
かけひきだけの愛は
見えなくなってゆく

つまさきでたったまま
二人愛してきた
狭い舞台の上で
ふらつく踊り子
若すぎたそれだけが
すべての答えだと
涙をこらえたまま
つまさき立ちの恋

(作詞・作曲:村下孝蔵 編曲:水谷公生ー1983年8月25日)

この歌詞全文の引用は「踊り子」の魅力を解説するため、および閲覧者の方々の便宜のための必要によってなされたものです。

関連記事ーその他楽曲解説

ここまでお読みくださってありがとうございました!

最後に改めて、当サイトでこれまで村下孝蔵さんの楽曲を解説した記事を掲げておきます。

ぜひ、これからも村下孝蔵さんの世界観を楽しんでくださいね☆

付記:配信サービスで村下孝蔵を聴く

ご利用中の方も多いと思いますけれど、村下孝蔵さんの楽曲がどのくらい含まれているのか、大手サブスク音楽配信サービスを比較検討しました。

便利な世の中になったものです……カラオケが充実しているサービスもあって、村下ワールドにどっぷりと浸かるにはもってこいですね。

⇒詳細はこちら(村下孝蔵さんサブスク音楽配信比較まとめ)

公式全楽曲配信中!
村下孝蔵さんの「初恋」など全曲を聴けるサブスク音楽配信サービスまとめ
村下孝蔵さんの「初恋」など全曲を聴けるサブスク音楽配信サービスまとめ

さらに付記:生誕70年記念動画

【生誕70年】踊り子 – 村下孝蔵 / “ODORIKO” ORIGINAL VERSION – KOZO MURASHITAー名無星さんのチャンネルより

有志の方が今年(2023年)の村下孝蔵さん生誕70年を記念して、動画を作成してくださっています。

村上保さんのイラストを生かした素敵な編集となっていますので、ご興味のある方はぜひチェックしてみてください。

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