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村下孝蔵さんの代表曲【陽だまり】にみる約束の愛。歌詞の意味や美しい物語を解説&鑑賞!

村下孝蔵・陽だまりアイキャッチ
おうじゃ(管理人)
(記事内にプロモーションを含む場合があります)


村下孝蔵さんといえば「初恋」「踊り子」「少女」などが有名ですね。どの曲も世界観が作り込まれていて、聴けば聴くほど魅力が増していきます。

人気曲「陽だまり」はアニメ「めぞん一刻」のために書き下ろされ、アニメの世界観を見事に描き出しているといわれています。

しかし「陽だまり」そのものから読み解ける物語も改めて味わってみたいと思うことはありませんか?

当記事ではそんな方のために「陽だまり」の歌詞や世界観を、あえてアニメを離れて味わうことを目的として記述しました。

管理人はこれまで数多く村下さんの楽曲の解説をおこなってきましたが、本楽曲ほどに物語性のはっきりした曲も珍しいと感じています。

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参考:当サイトの村下孝蔵さん特集🎸

当サイトでは村下孝蔵さんの全楽曲、とりわけその歌詞の意味や世界観を解説することを目標に掲げています。

⇒村下孝蔵さん楽曲解説・歌詞解題についての詳しい「考え方」はこちら

ご興味のある方は、以下の記事もお楽しみいただけるはずと自負しておりますので、お時間のあるときにどうぞ遊びにいらしてくださいませ。

↓↓↓

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村下孝蔵さんの代表曲【陽だまり】にみる約束の愛。歌詞の意味や美しい物語を解説&鑑賞!
村下孝蔵さんの代表曲【陽だまり】にみる約束の愛。歌詞の意味や美しい物語を解説&鑑賞!

(解説楽曲例:ロマンスカー、だめですか、いいなずけ、北斗七星、夢からさめたらなど)

⇒「踊り子」など代表曲はこちら

もちろん個人的な歌詞の理解にならざるを得ませんが、皆様がさらに村下孝蔵さんの魅力を感じるための参考となれば幸いです。

最下部に歌詞全文を付させていただきましたので、適宜ご利用くださいませ。

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🎵 当記事の著者について

当サイト管理人

新おうじゃ

名前 / Name  
おうじゃ 

職業 / Occupation
生来詩人、お米賞味マイスター、歌詞解説・鑑賞家、福話術者(家庭教師も兼業)

実績 / Achievements
生まれたときから詩的な人生を送っています。村下孝蔵さんに出逢ってから、その楽曲を肌身離さず心に持ち歩いては味わってきました。
姉妹サイトではシティポップの楽曲解説や、自身の生活の中で頂いたお米の銘柄の特徴をレビューしつつ【福話術】と題したあらゆる人の心に寄り添う記事を執筆、分野を開拓しています。

(姉妹サイト「おうじゃの福眼」プロフィールページへ遷移します)

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『陽だまり』所収

“陽だまり”

(ライブ映像:歌い出しがとてもかっこいいです♪ この場ですぐ再生できます)

蝉時雨遥か すだれごしに
水を打つ夏の夕暮れ

解題

ドラムの音を合図に広い空の下を駆けだすようなイントロから、村下孝蔵さんの作品の中でも最高度に明るい曲調と物語が全編を通じて展開していきます。

『めぞん一刻』を観たことのある方は、そのストーリーの中でも終盤に差し掛かって、五代くんが成長を遂げいよいよ響子さんと結ばれるのか……! 

という段階での主題歌だったことを思い出すかもしれません。

五代くんが墓前で総一郎(あれ……漢字はこれでよいのかな?)さんに語り掛ける場面など、アニメを思い出すと涙腺が……。

おうじゃ
おうじゃ

冒頭から失礼しました! めぞん一刻のお話ではないのです(笑)

結ばれる確信に身も心もときめかせる

石が川面を跳ねるように
ときめいた君を想って

基本の情景設定として、男性が(もう確実に結ばれるであろう)女性のことを想って、雲一つない青空が暮れかかる道を走っているようなイメージが浮かびますね。

男性が身体の重さも感じないほどに軽く駆けている道沿いには、「蝉時雨」が「遥か」に空の向こうまで、女性のもとまで届きそうなほどにあふれていました。

通りかかる民家の前では、暑さの収まりつつある「夕暮れ」を涼むため「すだれごしに水を打つ」人の姿に行き当たります。

走っている男性の足元へ、その水しぶきが夕日に変っていく日差しを受けて輝きながら、ちょうど降りかかったことでしょう。

しぶきの一粒ずつが光り輝いて路面に跳ね返るのを、男性は自分の心身の軽やかさに重ねます。

その軽さを生み出している女性への想いを反芻して「ときめい」て、まるで「石が川面を跳ねるように」女性を「想って」いる自分の様子にさえ心を震わせたのかもしれません。

女性への想いの高まり

陽炎がゆらめく街
この場所から遠く 空を見て

真夏の昼間の暑さは男性が女性を想う気持ちの熱さとも重なり、街に「陽炎がゆらめく」ほどに想いは高まります。

男性と女性はいつでも会えるような距離で暮らしているのではないのですね。

いま自分が立っているこの地点、この自分がこうしている「この場所から遠く」女性が生活しているであろう方角の「空を見て」、男性は目を閉じるか、赤く染まる空へ両手を広げて言います。

ああ君に会いたい
今すぐに声を聞きたい

女性も同じように思ってくれているだろうか?

次に会ったらまず何て声をかけようか?

男性は空に吸い込まれそうな心地よさと感慨の中で「会いたい 今すぐに声を聞きたい」と心にも願います。

これからをともに過ごす「祈り」

きらきら 夕焼けの中 微笑みなげて
望みを祈りにかえたら

「夕焼けの中」空へ顔を上げたまま、その美しい景色の向こうにいる女性の「きらきら」輝く表情を思い浮かべます。

もちろん男性もその女性に「微笑み」を「なげて」あげて、結ばれてこれからずっと一緒に過ごしたいという「望み」を単なる願いではなく「祈りにかえた」あとで、

一番大事な事忘れずに
輝いていて欲しいよ

女性に対して語ります。

お互いにいろいろあったけれど、「一番大事な事」は分かっているよね?

これからともに歩いていく事、どんなときでも人を愛する事、それを自分たち二人でならできるという事……

そういうことを「忘れずに」いられる君のまま、ずっと「輝いていて欲しいよ」。

(そんな君をいまも未来も、ずっと愛しているから。)

真実の愛の叫び

早く会いたい たった一言
心から叫びたいよ
きっといつかはめぐり逢い
結ばれると信じていたと

男性の気持ちは最高潮に達します。

場面は夕焼け空の続きかもしれませんし、別なある日の仕事帰り、学校帰りかもしれません。

完全に空想ですが、もしかしたら女性との手紙や電話のやり取りで、女性も同じ気持ちでいてくれたことが分かったのでしょうか。

そうなれば、もう一刻も「早く会いたい」

すぐにでも会って、「たった一言」でいいから「心から叫びたいよ」。

これまでに出会った事柄や大変だったこと、すれ違ったことは、みんなこの瞬間につながっていて「きっといつかはめぐり逢い 結ばれる」運命にあったんだって「信じていたと」。

男性の想いは来るべき未来へと飛んでいきます。

ただ一人その女性のためだけの自分

歩きだせばこの背中を
追いかけてついてきて欲しい

昨今ではジェンダーのお話などもあり、この部分は一見旧来の男性的な発想と受け止められかねませんね。
けれど、村下さんにその意図があったとは見受けられないことは注記しておきます。

男性が何か楽しいこと、面白いこと、素敵なことを見つけて「歩きだせば」、女性には「この背中を 追いかけてついてきて欲しい」。

自分は絶対に置いてけぼりになんてしない。他の誰かと一緒にいるなんていうこともない、だって、

ああ僕は君一人のためだけの
ひとりぼっちさ

「僕は君一人のためだけ」に、こうしていまだって「ひとりぼっち」でいるんだから。

君以外に結ばれる相手なんていないって、よく分かっているから。

そしていよいよそのときが訪れるはずです。

男性の想いなのか現実なのか、入り混じってきますけど、このような描き方は村下さんのひとつの特徴ですね。

永遠に愛を分かち合う「誓い」

ひらひら 花びらの舞う 春の午後には
祈りを誓いにかえるよ

季節は移り、男性と女性は結ばれる。

「ひらひら」と桜の「花びらの舞う 春の午後に」、男性は先ほどの人生を共にする「祈りを」女性に対する「誓いにかえ」ます。

さらにきっと女性も同じ気持ちで、それは二人の「誓い」に変わるでしょう。

二人で陽だまりの中光あつめ
やさしさをわかちあえるさ

そういう「二人で」なら、いつまでも暖かい「陽だまりの中」で、愛するという「光あつめ」、お互いの「やさしさをわかちあえるさ」

この部分は端的に結婚式の場面を描いているとみることもできそうですが、村下さんの他楽曲の深みに照らして、もっと抽象的で美しい様子を指し示そうとしていると個人的には捉えたいところです。

男性は隣にいる女性を見つめて思います。

一番大事な事忘れずに
輝いていて欲しいよ

いま、こういう気持ちになれたこと、こういう気持ちがこの世に存在していることそんな「一番大事な事」をこれからも「忘れずに」いつまでも「輝いていて欲しいよ」。

(そういう君を、以前もいまも未来も、ずっと愛しているから。)

<補足>

以上の解題はなるべく『めぞん一刻』を離れて、本楽曲とその歌詞自体から試みたつもりです。

でも、むしろ『めぞん一刻』のアニメの展開をそのまま描いているものと味わっても全然かまわないと思います。

ダルマ師匠
ダルマ師匠

じっくり読み解いても、そのくらいアニメに沿って作り込まれているということじゃな!

その場合、全体として五代くんの独白という感じになるでしょうか。それにしてはやはり歌詞が大人っぽすぎるかもしれませんけども(笑)

村下さんにしてはやや情景を描く部分が少なめで、心情へ寄せて作られた歌詞に感じられるのも、アニメとの関係があるのでしょう。

聴きどころ

楽曲の初めから終わりまで明るい曲調で、しかも内容も徹底して未来ある輝かしいものなのは、村下さんの作品の中でほとんど唯一ではないかと思います。

かんむりちゃん
かんむりちゃん

他にいま思いついたのは「小さな屋根の下」(『何処へ』所収)でした。

めぞん一刻をご存知の方は上でも書いたように場面を思い浮かべつつ、五代くんと響子さんの関係を思い出しつつ、その物語も一緒に味わうことができるでしょう。

そうでないとしても、本楽曲は村下さんの声にエフェクトがしっかり目にかかっていて、より美声を堪能できます。

コーラスも声の質から推測して村下さん自身が当てている可能性があって、これもけっこう珍しいと思います。

美声+美声で美しいハーモニーになる、という当たり前のことを当たり前にやってのけていますね。

起伏はもちろんあるのですが、全編がずっとサビのような感じで聴けるのもこの曲のポイントかもしれません。

管理人の感想

今回この解題記事を書いていてまず感じたことは、こういう人がいてくれてよかったということです。

律義さゆえに「めぞん一刻」のアニメを全話観てから曲作りをしてという話もあり、村下さんらしいよなぁ~~~と勝手にうれしくなった思い出もあります。

隠れた名曲全曲解説の記事でもよく触れているのですが、本当に「大事な事」をそのまま、論理で説明するのでもなく描けるというのはものすごいことなのですよね。

一見難解な歌詞も多い村下さんですけど、味わえば味わうほど自分自身の心の深みも増していくような感覚を覚えています。

とはいえ!

この「陽だまり」はそのものど真ん中大好きな気持ちを表現している作品ですし、ぜひぜひ皆様自身の味わい方で楽しんでみてくださいね

他の楽曲解説もご覧になりたい方は、歌詞全文下部↓のリンクへどうぞ。

陽だまり【歌詞全文】

蝉時雨遥か すだれごしに
水を打つ夏の夕暮れ
石が川面を跳ねるように
ときめいた君を想って

陽炎がゆらめく街
この場所から遠く 空を見て
ああ君に会いたい
今すぐに声を聞きたい

きらきら 夕焼けの中 微笑みなげて
望みを祈りにかえたら
一番大事な事忘れずに
輝いていて欲しいよ


早く会いたい たった一言
心から叫びたいよ
きっといつかはめぐり逢い
結ばれると信じていたと

歩きだせばこの背中を
追いかけてついてきて欲しい
ああ僕は君一人のためだけの
ひとりぼっちさ

ひらひら 花びらの舞う 春の午後には
祈りを誓いにかえるよ
二人で陽だまりの中光あつめ
やさしさをわかちあえるさ

一番大事な事忘れずに
輝いていて欲しいよ

(作詞・作曲:村下孝蔵ー1987年9月21日)

この歌詞全文の引用は「陽だまり」の魅力を解説するため、および閲覧者の方々の便宜のための必要によってなされたものです。

関連記事ーその他楽曲解説

ここまでお読みくださってありがとうございました!

最後に改めて、当サイトでこれまで村下孝蔵さんの楽曲を解説した記事を掲げておきます。

ぜひ、これからも村下孝蔵さんの世界観を楽しんでくださいね☆

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