村下孝蔵さんと私たち自身の【素直】な心にふれる。歌詞の意味や世界観を解説&鑑賞!
この記事では村下孝蔵さんの晩年の作品「素直」を取り上げてまいります。
前回の「まだ見ぬ人へ」同様、この世界と自分自身、あらゆる人々を愛した人物の賛歌のようにも思えますね。
力強さの中に感動的な要素も併せ持ち、おそらくファンの方以外ではあまり知られていませんが圧倒的な名曲です。
- 参考:村下孝蔵さん楽曲解説特集🎸
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(⇒村下孝蔵さん楽曲解説・歌詞解題についての詳しい「考え方」はこちら)
ご興味のある方は、以下の記事もお楽しみいただけるはずと自負しておりますので、お時間のあるときにどうぞ遊びにいらしてくださいませ。
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村下孝蔵さんと私たち自身の【素直】な心にふれる。歌詞の意味や世界観を解説&鑑賞!(解説楽曲例:ロマンスカー、だめですか、いいなずけ、北斗七星、夢からさめたらなど)
今回も管理人なりに全力で取り組みましたので、皆様が村下さんの楽曲を別な視点から楽しむ参考になることだけは請け合いです☆
下部に歌詞全文を用意しました、適宜ご利用くださいね。
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(遷移せずこの場で再生できます▶)
*どこにでもあるような
ありふれた町の景色が
ほらキラキラして 輝いて見える
解題
冒頭から私たちの「素直」な心を呼び覚まそうとするかのようなドラムが印象的な本楽曲。
村下さんにとっては晩年の作品ですが、「ほら」など呼びかける表現が多用されていることを見ても、村下さんなりに感じるところがあって制作されたことは間違いないでしょう。
基本的な場面設定としては、……と言いたいところですけれど、何か特に取り出すような場面を指していないというのが本楽曲の大きな趣旨だと思います。
いまこれをお読みくださっているあなたや、これを書いている管理人自身、その他この世界に存在する人々それぞれが心に想っていることを描いているといえそうです。
わしら一人一人がこの曲の歌い手だということじゃな!……泣
じゃから、今回は主人公を「私」や「私たち」、「あなた」とするぞ。
私たちはみな別の場所で生を享け、違う姿かたちをして異なる文化を身に着け、その都度目の前の出来事にさまざまな応答をして暮らしています。
そうした人間たちで形作られる「*どこにでもあるような」何の変哲もない「ありふれた町の景色が」どういうわけか今日は美しいのです。
「ほらキラキラして 輝いて見える」と、私たちは隣にいる恋人や家族、子どもたちに指さします。
ごらん 誰もがみな
前を向いて歩いていけるさ
指さすと同時に、私たち自身も改めて自分が過ごすこの場所、この街、この時に目を向けます。
「ごらん」そこでは想像しうる限りあらゆる背景や事情を持った人々「誰もがみな」、どんな苦しいことがあっても「前を向いて歩いていけるさ」と言わんばかりに輝いている。
一つ一つリズムを刻み、唯一無二のメロディを奏でるたくさんの足音がこの街にあふれているようです。
素直な気持ち 君に伝え
笑顔ふたつで
おんなじ夢に向かってゆく
手に手を取って
そんな人々の横顔、背中を目にすれば、あなたは自分がずっと胸に温めていた「素直な気持ち」を一番「大切な」人に「伝え」ないわけにはいきません。
本当に素直な気持ちを受け取った相手も、もちろん心を開かないわけにはいきません。
そうして通じ合った「笑顔ふたつで」、あなたや私、その他の人間たちは「おんなじ夢に向かってゆく」のでしょう。
「手に手を取って」歩いていけば、届かない夢などないかのようです。
ほらニコニコして
さわやかに目覚め
ごらん誰もがみな
空を見上げ 涙をこらえて
そうやって一緒に夢へ向かって歩いていても、ときにはつらいこともあります。
けれどあなたはまた言います、「ほらニコニコして」昨日の出来事は布団の中に置いて「さわやかに目覚め」てみようよ。
前回はあなたの大切な人があなたに向かって同じように言ってくれたから、今度はお返しです。
「ごらん」どんなことがあっても私たちは「誰もがみな」、いまいるこの場所から輝く「空を見上げ」て、悔しさも喜びも全部入った「涙をこらえて」いる。
素直な気持ち 君に伝え
心ひとつで
小さな夢に向かってゆく
少しずつでも
嬉しいことも楽しいことも、つらいことも悲しいことも、全部が私たちの「素直な気持ち」だから、それを大切な人「に伝え」ることにしないか。
そうすれば私たちは「心ひとつで」、ささやかだけれどかけがえのない「小さな夢に向かってゆく」ことができるだろう。
どれほど「少しずつでも」、そんな一人一人の歩みがこの美しい世界を作り、育てているんだ。
こんな口上を聴いたら、あなたの大切な人はどう思うでしょうね☆
*くりかえし
以上に描かれている様子が、この地球上のどんな場所でも「*くりかえし」おこなわれています。
あまりにも当たり前の営為で、あえて取り出す必要もなくて忘れがちなのだけれど、本当は私たちはそれ以外のことをおこなっていません。
すなわち、
愛してる
愛してる
私たちは自分なりにそれぞれ多様な生活を送っていますが、それらはすべてそんな自分を「愛してる」からです。
同じように、自分の大切な人を、大切なものを、(たぶん村下さんを)、この世界を「愛してる」からです。
人間の奥底に秘められた深い愛に光を当て、その「素直」な表れをさわやかなメロディに乗せて歌い上げた究極の名曲に数えられます。
聴きどころ
いつも通り村下さんの歌唱が広々とすばらしいのは当然として、本楽曲はドラムがとても大きな役割を担っていると思います。
エネルギッシュで聴き方によっては主張的で煽動的にも感じられながら、うるさかったり激しかったりはしない叩きぶりが見事です。
「おーおー」というコーラスも後半の盛り上がっているところでいい仕事をしていますよね~!
管理人の感想(あとがき)
上の解題では壮大な視点も含めて書いてみましたが、実際には昼からお酒を飲んだときの話ではないですよね??(村下さん?)
確かに普段やらないことですし、酔いが回ると町も人もキラキラしがちですけれども……笑
という冗談はさておき、ヘッドホンで大き目な音で冒頭のドラムを聴けば泣けます。
僭越ながら、なんというか、村下さんの円熟味を感じて……。
本楽曲の編曲がいつもの水谷さんではなく、プロデューサーの須藤さんなのも一役買っているのかもしれませんね。
まとめ
今回は村下孝蔵さんのまっすぐ曲「素直」を解説してまいりました。ぜひ皆様もご自分なりの解釈で楽しんでみてくださいね☆
他の楽曲解説もご覧になりたい方は、歌詞全文下部↓のリンクへどうぞ。(直近の解説楽曲は「まだ見ぬ人へ」でした)
素直【歌詞全文】
*どこにでもあるような ありふれた町の景色が ほらキラキラして 輝いて見える ごらん 誰もがみな 前を向いて歩いていけるさ 素直な気持ち 君に伝え 笑顔ふたつで おんなじ夢に向かってゆく 手に手を取って ほらニコニコして さわやかに目覚め ごらん誰もがみな 空を見上げ 涙をこらえて 素直な気持ち 君に伝え 心ひとつで 小さな夢に向かってゆく 少しずつでも *くりかえし 愛してる 愛してる
(作詞・作曲:村下孝蔵 編曲:須藤晃ー1998年10月31日)
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ここまでお読みくださってありがとうございました!
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当サイトでこれまで取り上げた楽曲を改めて掲げておきますので、お時間のあるときにぜひ遊びにいらしてくださいね。
また、村下さんに関するちょっとしたネタやカバーしている方の情報なども順次まとめています。
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